PROJECT STORY 03

フレッツ光クロスサービスプロジェクト

  • #通信基盤
  • #ネットワーク
  • #フレッツ光

社会が求める高速・
大容量データ通信の
新ネットワークへ挑む

PROJECT OUTLINE

最高通信速度が従来比10倍の
「フレッツ光クロス」が始動

AIやIoT技術の進化、スマートフォンの高機能化などに代表されるように、近年通信技術とその活用範囲は急速な発展・拡大を遂げている。最近では4K・8Kといった高精細な映像コンテンツや機能豊富なオンラインゲーム、XR(VR,AR,MR)技術を用いた新たなエンターテインメントも登場し、モバイル分野では第5世代通信(5G)サービスが始まるなど、かつてなく高速で大容量なデータ通信への需要が高まっている状況だ。西日本を網羅するネットワークを有するNTT西日本はその要望に対応するべく、自社が980万人のユーザーに提供している「フレッツ光」サービス回線を進化させる事業に乗り出した。めざしたのは、これまでの最大通信速度1G(ギガ)bps※をはるかに超える、最大概ね10Gbpsの高速通信サービス。「フレッツ光クロス」と名付けられたこのサービスをスピーディーに西日本全域へ広げるための一大プロジェクトが現在進行している。

※bps(bits per second)=1秒あたりに転送できるデータ速度単位

ニーズとコストの調整を図りながら
サービスエリアを徐々に拡大

「フレッツ光クロス」は2020年4月、西日本においては大阪府大阪市と愛知県名古屋市を皮切りにサービスがスタート。2022年3月時点では、関西・東海の周辺6府県を含めた40都市に提供が広がっている。「フレッツ光クロス」をさまざまなエリアへ広げるための大きな課題が、サービスの利用ニーズをにらみつつ、既存のネットワークを従来比10倍の高速・大容量データ通信網に切り替えていくことだ。ニーズに関わらず新たなネットワーク構築で対応するなら技術的にも話は簡単であるが、それでは膨大な時間とコストがかかってしまい、ビジネス上の無理が生じて今後のサービス展開がおぼつかなくなる。人口とネットワークが密集する大都市圏においてはある程度ビジネスバランスを保ちやすいものの、遠方や過疎地になるほどネットワーク整備は困難になっていく。とはいえ、西日本に幅広く、快適で安定した通信インフラを届けるのは昔から変わらないNTT西日本の重大な使命。数々の難題に直面しながら、今日も「フレッツ光クロス」のサービスエリア拡大に向けた奮闘が続いている。

INTERVIEW

K. TOYOZUMI

2011年入社
電気電子工学修了

プロジェクトの継続のために
ネットワーク展開方法の見直しを決断

西日本全域に通信インフラを届けるためのネットワークデザインが私の担当業務です。主な仕事内容は、自社で立案したサービスの仕様を満たすネットワークの構築をめざし、通信技術に精通した開発部門や保守部門と連携しながら必要な装置や構成などの条件を整えていくこと。本プロジェクトには「フレッツ光クロス」の第一次サービス提供が開始された直後から参画しており、現在まで同ネットワークの拡大に必要な設備展開の調整役を務めています。

プロジェクトにおける私のミッションは、サービス開始までにお客さまに確実な通信サービス提供を行うことができるネットワークを完成させることです。我々のプロジェクトでは当初から、スピード感を持ってお客様にサービスを提供するため、予めまとまった設備を準備しておく方法で検討していました。しかし、これに臨んで一番の課題となったのが、販売部門とともにネットワーク拡大の計画検討を進めていく中で、サービス対コスト比率によりビジネスとして成り立たない公算が出てきたことでした。特に私のチームが担当する設備分野はネットワーク全体に占めるコストの割合が大きく、その検討の仕方次第でプロジェクトの継続・中止が左右されるような局面を迎えたのです。この重大な危機を乗り越えるために、私は当初のデザイン方針を抜本的に見直すことを決意。設備面のコストダウンを実現すべく、フレッツ光クロスの新たな構築方法を探り始めました。

大胆な判断と行動で
新方式によるネットワーク構築を牽引

課題解決に向け注目したのは、お客さまからの申し込みに合わせて、効率的にネットワークを完成させていくことで、利用効率の高い設備を作ることです。また、新しいネットワーク構築方法ではサービス提供のスピードを落とすことがないよう、私は社内の開発部門と密に連携して従来システムの活用方法や改良により対応させる方法を調べ尽くし、それによって当初計画の方法と変わらないサービス提供のスピード感を維持しつつ、設備効率を高める新構築方式を作り上げて周囲に提案しました。それまで議論し合ってきた構築方法を覆すとても大きな決断でしたが、この頃の私の思いは状況を斬新に変えないと困難は突破できないという一心。全社を巻き込まねば実現できない提案でもあったため、私は新構築方式のビジネス面における見通しを示しながら各関連部門の理解と納得を得ることに奔走しました。結果、私の提案は社内全体の合意に達し、無事に「フレッツ光クロス」の第二次サービス提供につなげることができました。

このチャレンジが成功した秘訣は、変化を恐れずに大胆な判断を行い行動したことです。現状を大きく変えることには自分自身を含め誰もが躊躇しがちな中で、そうした取り組み姿勢を徹底して関係する皆の気持ちのベクトルを一方向に向けられたことが奏功したと考えています。本プロジェクトは今も継続中であり、さらに多くのお客さまが「フレッツ光クロス」を待ちわびているはず。私はネットワーク設備構築の司令塔としての責任と自覚を胸に、サービスエリアの拡大に向かって一層工夫を凝らしていきたいと思っています。