24時間365日、
止まってはいけない通信のために、
西日本の通信ネットワーク機能強化に挑む。
PROJECT STORY 01PROJECT STORY 01
PROLOGUE

予想されるデータ通信量の拡大に向けて、
パワフルな装置を導入する工事を計画。

NTTネオメイトの主事業は、西日本全域の通信ネットワークの構築や、自治体・企業などのネットワークのメンテナンス・オペレーション。西日本30府県の通信設備をまもるという、重大な役割と責任を担っている。平成26年末の段階で、日本におけるインターネット人口普及率は83%に達した(総務省 平成27年「通信利用動向調査」)。通信の切断がもたらす社会的なインパクトは、もはや計り知れない。しかも、スマートフォンやタブレットの普及、動画コンテンツの増加、さらにはIoT(Internet of Things=モノのインターネット化)時代の到来によって、トラフィックは加速度的に拡大することが予測されていた。

「機器が容量オーバーを起こす前に対策をとらねばならない」。NTTネオメイトは、データの中継・転送を行う大容量転送装置(コアルーター)の機能強化を計画。「失敗すれば、1府県100万人に影響が出る」という緊張感のなか、部署の異なる4人の社員が連携し更改工事を実施することになった。

PROJECT MEMBER
桝本桝本 裕也
NTTネオメイト ネットワーク本部
デザインエンジニアリングセンタエンジニアリング部門
第四ネットワーク担当
花田 好人
NTTネオメイト ネットワーク本部
ネットワークサービスオペレーションセンタ
オペレーション担当
長畑 有樹
NTTネオメイト ネットワーク本部
ネットワークサービスオペレーションセンタ
オペレーション担当
大門 達矢
NTTネオメイト ネットワーク本部
IP技術センタ
第二技術担当

部署を超えたワーキンググループをつくり、
100%の確実性を期した工事を計画。

 

電話、インターネット、テレビなどのコンテンツプロバイダ、企業間通信(VPN)など、私たちの暮らしや仕事のインフラとなっているデータ通信を支える、NTT西日本の通信ネットワーク。NTTネオメイトは、このネットワークを24時間365日いつでも良好な状態でお客さまに提供できるように、監視制御を行っている。今回の更改工事は、トラフィックが増大し続けてもお客さまにストレスのない通信を提供するためのプロジェクトとして実施された。この工事の計画と実施を担当したのがデザインエンジニアリングセンタ(DEC)の桝本だ。

桝本桝本

工事の依頼があると、まず関連部署とワーキンググループで議論をします。今回のように、装置の交換を行う際には「この工事によってどの部門に影響が出るのか」を洗い出して調整をはかるのですが、影響範囲の大きい工事を行うときは、日程を決めるだけでもひと苦労ということもあります。
工事の手順を組み立てた後は、綿密なシミュレーションを行い「予定時間内に工事を完了できるかどうか」を検証し、工事によって起きるリスクを限りなくゼロに近づけていく作業を行います。工事を始めた後も、どんなに小さな異常の検知や、些細な不確定要素の発生でも、必ず作業を止めて確認をします。判断を誤ると後で取り返しのつかない事態を招くこともありますから。

 

桝本から届いた工事内容を確認して監視業務を担うことになったのが、ネットワークサービスオペレーションセンタ(NSOC)の花田である。NSOCは24時間365日、通信状態を監視している部門。機器の故障や回線トラブルが発生するやいなや、アラームなどで検知してサービスへの影響範囲を確認し、速やかにサービス復旧および設備回復を行う。こうした万全の体制のもとでスタートした工事のはずだったが、誰もが予期せぬトラブルが待ち構えていた。

想定外の異常が発生、緊急体制を確立する事態に。
メンバー間の信頼関係が早期解決の道を開いた。

 

工事開始後、想定とは異なる装置状態を確認した桝本は、すぐに花田に連絡。同時に、状況を共有するためにDEC、NSOC、IP技術センタ(IP-TAC)の担当者を集めて電話会議を行った。その後、花田はNSOCの監視システムから遠隔で装置状態を確認。やがて、大容量転送装置の一部機能に故障が発生したことを突き止めた。
大容量転送装置が接続されているのは、バックボーンと呼ばれる高速かつ大容量のネットワーク回線。万が一にも通信サービスが停止することがないように、不測の事態に備えて予備設備を準備しておく「冗長化」と呼ばれるシステム構成がとられている。今回、更改工事が行われた大容量転送装置も、サブシステムが並列して稼働しており予備機器も用意されていた。

 

花田

まず、故障している状態で工事を継続していいのかどうかを判断するために、サブシステムが正常に稼働しているかを確認しました。万が一、サブシステムに影響がある場合は、お客さまへの周知とサービス復旧が最優先となりますから。今回はサブシステムは正常に稼働していたので、故障している機能を明らかにしつつ、必要な措置を判断するためにIP-TACの大門に解析を依頼しました。

大門

装置の故障の要因はさまざま。ハードウェアの異常であることもあれば、ソフトウェア異常、あるいは外的要因によることもあります。IP-TACでは、装置から発信されているメッセージのほかに、コマンドを打ち込んで得られる情報から故障の要因を特定していきます。今回の大容量転送装置は高さ2m近い大きなもの。そのなかの一部の機能が故障したことがわかりました。

大門が解析を進める一方で、NSOCで伝送設備を担当する長畑も動き始めていた。伝送設備とは、通信サービスにおいて発信側と着信側、交換機間を結び電気信号を運ぶ設備のこと。具体的には、光ファイバケーブルなどの有線設備、あるいは通信衛星などの無線設備がこれにあたる。長畑はこれらの伝送設備を監視している。

長畑

花田からの依頼を受けて、伝送設備の正常性を確認するために、解析作業を行いました。結果的には、伝送設備には異常はないという結論が出ました。しかし、ごくまれにサイレント故障といって、アラームが出ないために故障の察知が困難なケースもあります。過去の事例を踏まえてサイレント故障の可能性も疑い、さらに入念に解析も行ったのち、花田に「異常なし」と返答しました。

花田

故障箇所を特定し、伝送設備にも問題がないことを確認できたので、復旧に向けての作業を始めることにしました。まず、予備機器を手配し、現地での作業を担当する部署に機器の交換を依頼します。交換作業が完了したら、問題なく装置が稼働しているかどうかを確認。工事の再開に向けて、再び電話会議を開いて意識合わせを行いました。

調査・解析、問題特定から復旧作業へ。
「絶対に止めない」使命感がサービスをまもる。

 

「工事完了!」。無事に工事を再開した桝本がそう告げると、メンバー全員に安堵が広がった。NTTネオメイトでは、工事の準備と実施はDEC、万が一の故障や障害が発生したときにはNSOC、問題の解析はIP-TACという役割分担が明確にある。だからこそ、今回のように不測の事態が発生したときにも、問題の特定から解決、復旧までのプロセスを速やかに行うことができるのだ。

 

桝本桝本

我々の一番大きな目的は、お客さまに「絶対に止めない」通信サービスを提供すること。DECは、通信を止めずに速やかに工事を行う手順を考え、NSOCではいかに復旧までの時間を短縮するかを常に考えています。

花田と長畑が所属するNSOCは、絶対に止めない通信サービスの「最後の砦」と言われる責任ある部署。入退室は顔認証でチェックし、シフト勤務によりスタッフが常駐。24時間365日、休むことなく西日本全域のネットワークをまもっている。平常時はとても穏やかだが、ひとたび故障や災害が発生すると部署全体に緊張の糸が張り詰める。

長畑

万が一、通信サービスが止まった場合にはいち早くお客さまに情報を提供し、確実な作業で早期のサービス復旧を目指すのがNSOCの役割です。とりわけ、私が担当する伝送設備は多くの装置と関連性があり、サービスに影響が出るような故障の場合は、各装置担当とすぐに連絡・連携をとりながら密に故障対応を進めることが求められています。そのためにも、平常時からコミュニケーションをとるように意識していますね。私たちが動かなければお客さまへのサービス提供ができなくなってしまう。そういった使命感を持って日々仕事をしています。

大門

「最後の砦」と呼ばれるNSOCに対して、技術的な支援を行うのがIP-TAC。特に、作業の指示をするときはできるだけわかりやすい説明をする、故障対応を依頼するときは電話ではなく顔を合わせて話すようにするなど、コミュニケーションも大事に考えていますね。

1秒でも早く、確実に。今回のような通信ネットワーク機能強化のための更改工事はもちろん、故障や災害の際も、常に慌てることなく慎重に、確認のうえに確認を重ねつつ人と人、企業や自治体、この社会全体をつなぐネットワークを回復させていく。その力となっているのは、NTTネオメイトが誇る技術力、そして何よりも社員同士の厚い信頼関係に基づいたチーム力なのである。

PAGE TOP ▲