PROJECT STORY 01

地方創生プロジェクト

子どもたちの豊かな学びと
未来への道を広げるために。
ICTソリューションで離島の教育環境を改善。

絶海に浮かぶ日本最西端の離島、沖縄県の与那国島。そこには離島ならではの悩ましい教育環境課題があった。長きにわたって抜本的な解決法が見出せなかった地域課題に対して、今、NTTビジネスソリューションズがICTのチカラで大きな風穴を開こうとしている。

PROJECT MEMBER

YAMAMOTO SHU

九州支店 沖縄ビジネス営業部
SE部門 SE担当
2015年入社/工学部 機械航空工学科卒

入社して3年間、福岡県で民間のお客さまへのSEとして活躍し、知識とスキルを積んだ。さらに広いフィールドで自分の技術を磨きたいと考えていた中、沖縄の自治体担当SEに。理想と考えていた地方創生にダイレクトに関わる仕事に胸が高鳴る日々を送っている。

KINJO JUN

九州支店 沖縄ビジネス営業部
SE部門 SE担当
2016年入社/生産情報システム技術部卒

豊富なSE経験と、地元沖縄への精通度合いを買われて今回のプロジェクトリーダーに抜擢。近年は30名以上のメンバーからなる沖縄伝統芸能「エイサー」クラブの社内認定を得るためのリーダー役も務めた。沖縄をこよなく愛し、地域活性化に全力を注いでいる。

PROJECT STORY 01

01

不可避だった教育課題解決に
乗り出したNTT西日本グループ

都市部と地方の学校では教員および生徒数の多寡に起因する教育面での地域格差が存在する。特に離島では児童生徒の減少により複式学級化※が進んでいるなか、いかに多様性を育み、学習意欲の向上を図るのか、模索が続いている。また高等学校のない離島に住む子どもたちが、中学校卒業と同時に進学のために島を離れざるを得なくなる「十五の春」も避けては通れない。国や沖縄県は長年、これら離島の教育環境改善を目指しており、解決の糸口を探っていた。

※:2つ以上学年の離れた生徒たちが同じ教室空間で学ぶこと

そこに敢然と立ち上がったのが、沖縄全域へ光インターネットのインフラ整備を進めていたNTT西日本グループだ。先んじて島根県の離島、隠岐の海士町などでICTを活用した遠隔合同授業を成功させていたノウハウを武器に、グループの総力を挙げて沖縄県と与那国町に課題解決の道筋を提案。与那国島に最先端のICT設備機器を駆使した遠隔授業システムを導入することが決定した。こうして2017年夏、県と町の役場や教育委員会、各学校との連携を通じた巨大プロジェクトが動き出した。

PROJECTSTORY 01

02

壮大な海底光ケーブルの
敷設からすべてが始まった

沖縄の島嶼を結ぶ光インターネットサービス並びに遠隔授業システムの土台になるのが、海底に敷設する光ケーブルである。プロジェクトに先行してNTT西日本グループは膨大な総延長距離になる海底光ケーブルのルート設計、各離島でのブロードバンド環境整備など、幅広い技術の検討と投入に力を注いできた。NTTビジネスソリューションズの山本周は、百戦錬磨の先輩たちとともに今回のプロジェクトを背景から支えた立場として、山本は自身の仕事と与那国島への展開にひと際の難しさを感じたと話す。

「海底光ケーブル敷設を進めている途中からの参画でしたが、携わっている仕事は通信全体の根幹となる基盤ネットワークの部分で、自分も初めて経験する難しいフェーズです。本土では当たり前に存在して多様な通信サービスの源になっている光ケーブル網を、設置方法や最適な形などさまざまな観点から沖縄県および各市町村の方々と議論し合い、一から作り上げていくわけですから。与那国島の場合はそうした難しさに加えて、地理的なハードルが非常に高かったと思います」

与那国島は、沖縄本島から直線距離で約650km離れた絶海の孤島。アクセスするのは簡単ではなく、台風などの悪天候によって各種工事や部材の到着が滞る危険性も高い。諸々の可能性を考慮した万全のスケジュールを立てプロジェクトをサポートすることが必須で、山本は技術面の精査や勉強を含め開通まで少しも気を抜けなかった。

「一方でこの仕事を経験したことにより、昨今Wi-Fiなど無線が主流となっている数多の通信サービスも、根底に有線がなければ実現できない大局的な視点を養うことができました。すなわち、通信で地域の活性化を図るには、まずは確かな有線整備が不可欠だと。これまで欠けていた考え方や知識が身に付いて、自分が一足飛びに成長できた気がします」と山本は語る。

PROJECTSTORY 01

03

現地密着でシステム構築の困難を
次々と乗り越える

山本とは一線を画した動きで与那国島での遠隔授業システム導入を牽引したのが、SEでありプロジェクトリーダーを務めた金城純である。営業担当者とタッグを組んでの島内各方面への要望ヒアリングに始まり、必要部材と工事の手配からシステム構築に動作検証、マスコミ発表イベントの準備統括まで、金城は多岐にわたる重要な役割を担った。

「今回、離れた2つの場所をオンタイムに映像と音声でつなぐハード面のシステム構造は早々に決定できたのですが、使う人にどう見えてどう聞こえれば効果的な遠隔授業にできるかという、ソフト的な部分を調整するところが苦労した点です。そのあたりは実際に授業を推進される先生や生徒の声を集約しなければクリアできなかったですし、後々先生方がご自身で操作できる仕様に仕上げる必要もありました。システム構築そのものに与えられた時間は約2カ月で、この間は本当に忙しく多方面に動き回った覚えがあります」

システムを設置する舞台となったのは島の中学校。金城は通常の授業に支障が出ないよう、電気工事に付随する騒音抑止や機器類の配置等に注意を払いつつ、慎重に構築工程を進めた。島内間から島外へと幾度かの通信テストも重ね、システムは着々と完成へ前進。やがてプロジェクトの大きな節目となる、与那国町と東京の霞が関をつなぐ遠隔合同授業の開校式の日が近づいた。離島教育のモデル事業として国レベルの注目を集めるプロジェクトゆえ、開校式当日には総務大臣もテレビ画面の向こうから挨拶を述べる予定。その絶対に失敗が許されない状況で、直前に思わぬトラブルが金城を襲った。

「本番前日のリハーサル時に、プロジェクト外の要因によって突然、通信回線が切れてしまったのです。原因確認のためにNTT西日本グループの総合問い合わせ窓口(116)へ緊急連絡をとり、原因を特定して工事部隊に迅速に修復対応してもらった結果、どうにか危機を乗り切ることができました。はるか遠い与那国島でそれを差配した当事者として、NTT西日本グループの総合力の高さをあらためて感じました」と当時を振り返って金城は目を細める。

PROJECT STORY 01

04

絶えることなき地方創生の熱意が
離島の夢を形にする

開校式を終えて実用段階に入った与那国島の遠隔授業システムは、その後も島内の2つの中学校間の合同授業、沖縄県外の学校との遠隔交流授業などの実証実験に次々と成功。沖縄本島にある琉球大学の協力のもと、このシステムを利用した通信制高校の設置計画も徐々に実現に向けて動き出そうとしている。島を出た子どもたちと島に残る家族との交流通信など活用のバリエーションも拡大しており、2018年秋には与那国島と西日本全域をつなぐ遠隔合同授業が可能な通信環境も整備された。近い将来、東日本を含めて全国各地とさまざまな形で結ばれる日も遠くはないという。与那国島はついに、教育環境改善への歴史的な大転換点を迎えようとしている。

プロジェクトをリードしてきた沖縄出身の金城は、生まれ育った地元への愛着を込めて現在の心境をこう語ってくれた。

「システムの提案から構築、運営を推進するだけでなく、現地の教育委員会や学校関係の方々とともに包括的な離島教育の改善案を考えながらニーズに即したソリューションにできたことに心から安堵しています。沖縄は人やモノの移動に時間がかかる上、雇用も少ない土地柄。通信の発展は、教育のみならずそうした数々の課題も解決できる最良の手段と考えているので、いつか沖縄が東京や大阪などの大都市と同じ土俵に立てるよう、自分なりに精一杯努力していきたいと思っています」

山本もまた、自らの仕事に対する原点を思い起こしながら今回のプロジェクトに関わった感想を次のように話す。

「私が通信業界、なかでもNTTビジネスソリューションズを希望した一番の理由が地方創生に貢献したかったこと。通信を使って都会と地方の格差をなくしたい思いが、今も最大の仕事のモチベーションになっています。そうした意味では現在沖縄エリアの担当になっていること、そして離島の積年の教育課題解決の一端を担えたことに、特別な喜びとやりがいを感じています。これから先、近いうちに与那国島の例をまた別の離島に水平展開するプロジェクトメンバーになれればさらにうれしいですね」

ビッグプロジェクトを終えるや否や、次なる地域活性化を目指して走り出している山本と金城。二人の双眸には、再びそれをやり切る志と自信の炎がゆらめいているように見えた。

地域創生プロジェクトを動画で見る

SPECIAL MOVIE 01

地方創生プロジェクト

ICTで実現する離島の教育環境改善

子どもたちに新たな視野と可能性の広がりを

VOICE

お客さまの声

VOICE #01

与那国町役場 総務課 課長
上地 常夫 様
           

与那国島は全国の地方と同様、人口が減少傾向にあり、役場としては定住条件を整えるために教育・医療・福祉など住民サービスの充実化に力を入れています。最初に取り組んだのが、島の未来を担う子どもたちの教育の改善。NTT西日本グループさんの光回線によってスピーディーで快適な通信環境が整備され、今回、十五の春という島の大きな課題解決も明確に見えてきました。漁業や観光など産業面でも光回線を使って伸ばせる可能性が多々あるので、島内での活用を一層広げたいと考えています。

VOICE #02

与那国町教育委員会 教育課 主事
池間 有人 様

遠隔授業システムで利用した子どもたちの可能性が広がり、今後どんな進路を選ぶのかがとても楽しみです。複式学級の解消に役立つ点でも合同授業で子どもたちの笑顔が広がる様子を見ると、単なる学習用の枠を超えた情操教育面の効果が高いように思っています。このシステムが離島教育のあたりまえのインフラとして浸透するようNTTビジネスソリューションズさんと協力し合い、どんどん遠隔授業の質を向上させていきたいですね。

VOICE #03

与那国中学校 教員
宮良 紗知 様

これまでに2度、島内にあるもう一つの中学校との間で遠隔合同授業を体験しました。教員として他の学校の先生の授業スタイルを学ぶよい機会になりましたし、授業を行う側になったときも違和感なく、普段の感覚に近い形で進められたのが印象的です。生徒たちも普段と変わらない様子で授業に臨むことができました。今後は授業だけに終わらず、八重山全体で開催される意見発表大会の共同練習や推薦図書の情報交換を行うなど学校間交流の活発化にも積極的に活用して、生徒たちの学びを深めていければ、と思っています。

MESSAGE

沖縄エリアを担当する若手社員が、
これからの意気込みを語ります。

SHINKAI KOICHIRO

九州支店 沖縄ビジネス営業部
ビジネス営業部門 営業担当
2015年入社/経済学部 経済学科卒

沖縄にある大型ショッピングモールなどのお客さまへ、施設内のフリーWi-Fiやテナント店舗への光配線の整備ほか、多彩なICTソリューションを提供するのが私の仕事。お客さまのICTに関する相談役兼、最適な通信環境をつくるパートナーとして活動しています。お客さまに頼られる立場として常に最新のICT動向・知識に目を配らねばならない難しさはありますが、困りごとを解消できたときの達成感は抜群。営業力にさらに磨きをかけて、より多くのお客さまの信頼獲得を目指したいですね。

HARA MASAKI

九州支店 沖縄ビジネス営業部
沖縄振興推進室 営業担当
2012年入社/経済学部 経営情報学科卒

私は沖縄県下の自治体のお客さまを相手に、ICTを活用して住民サービスの質を高めるさまざまな提案営業を日々行っています。例えばブロードバンド整備や行政防災システムの災害発生前のスピーディーな対応の実現や双方向の情報共有などをめざし更改などに取り組んでいます。自治体が抱える多様な課題をICTで解決することで、地域社会への貢献を肌で感じられるのが一番のやりがいです。「沖縄の未来を切り拓く」を合言葉に、沖縄支店のメンバーと一丸となって地域住民の生活を豊かにする目標実現に邁進しています。

※各社員の所属部署や掲載内容は取材当時のものです。