ここ数年で日本の携帯電話やブロードバンド市場は世界に類をみないほど飛躍的に進展しました。電話事業は120年の歴史をもちますが、最大約6,000万の契約数が、この10数年間で約3,400万にまで減少しました。これは携帯電話や光ブロードバンドの発展によるものであり、通信手段として携帯電話の契約者数が約1億2,500万契約に、光回線・その他ブロードバンドを利用する契約者数は約3,500万契約まで、この10数年間で急激に伸びてきました。
つまり、携帯電話やブロードバンド市場は、通信の120年という長い歴史の中で見れば、極めて急速に発展を遂げているということなのです。
また、普及率についても、欧米と比較しても日本は世界を先導するポジションにあります。たとえば、モバイルブロードバンドの普及はアメリカが約6割、ヨーロッパが約3割であるのに対し、日本は約9割という状況です。固定ブロードバンドについては、日本も欧米も同様に約6割といったところですが、その内訳として光ブロードバンドを利用する率については欧米が1割未満に留まるのに対し、日本は3割以上にもなります。さらに、いまだDSLが中心となる欧米のブロードバンド環境に比べ、日本における光ブロードバンド等の超高速ブロードバンドの整備率(世帯カバー率)は約90%であり、光の展開についても先進的だといえます。
しかしながらブロードバンド利活用の状況については、他国と比べ、日本は遅れが目立ちます。
人口に占める日本のインターネット利用者数の割合は各国と同様70%台となっているものの、教育・行政・医療等の分野では、日本での利用状況はまだまだ低い状態です。ちなみに、学校等の教育現場での学内LANの整備率はアメリカが約94%、
韓国はほぼ100%であるのに対し、日本は約64%という現状にあります。
また、医療分野での電子カルテの導入率についてはアメリカが約26%、イギリスが約94%であるのに対し、日本はまだ約8%という状況です。このように各国と比較した場合、日本では教育・行政・医療など各分野において、ブロードバンド利活用は遅れています。
しかし、この状況は逆に見ると、それだけビジネスチャンスが広がっていると捉えることができます。昨年、政府のIT戦略本部が、少子高齢化や環境問題などに対応
したIT社会の実現に向けて70兆円の新規市場の創出をめざす「IT工程表」を発表しましたが、私たちNTT西日本も、NGN(Next Generation Network:次代を創る
ネットワーク)を中心に様々なサービスを創造し、より便利で豊かな社会の
実現に貢献したいと考えています。
NGNは従来のネットワークとは異なり、高い信頼性と強固なセキュリティーを備えており、個人情報などを扱う行政や医療などの分野での新たなビジネスの基盤となります。たとえば、住民票や印鑑証明の発行や申請手続きなどの行政サービスがネットワーク上で利用できる「電子行政」や、病院から離れた場所であっても、高精細の画像・動画等を通じてリアルタイムな診断やヘルスケアができる「遠隔医療」なども実現可能となります。
また、「LTE」(携帯電話で高速データ通信が可能となるサービス)のサービス開始や、地上デジタル放送への移行完了に伴うデジタル化・IP化、Wi-Fiの普及などにより、固定通信と移動通信のシームレスな連携や通信と放送の融合は、NGNを中心として新たなステージへと進んでいます。
そこでどのような新たなサービスが生まれるか。10数年前に今日の世界が予想できなかったように、私たちの想像を超えるものがたくさん誕生することになるでしょう。
NTT西日本が手掛けている事業は、通信をつなぐだけではなく、どのような付加価値を提供できるか、どのような新サービスを提供できるかを追求しています。 NGNを基盤として、日本の社会、経済が直面する課題、さらには地球環境問題に、どのように貢献するか。それを実現していくことが、私たちNTT西日本の大きな"使命"となっています。今後は通信事業の担い手という立場を活かした 「サービス創造企業」としても社会に貢献していきたいと考えています。
そして現在、NTT西日本が今後の成長戦略の柱として掲げているものとして、「家デジ」「クラウドビジネス」が挙げられます。
「家デジ」は「家まるごとデジタル化」の略称で、家中のデジタル機器をネットワークでつなぐことで、毎日の暮らしをより便利・快適にするとともに、家族や離れた家同士などで、様々な情報を共有し共に楽しく暮らせるようにしようとする構想です。この構想のもと、たとえば、大手スーパーマーケットと協業し、高齢者のお客さまにも利用しやすいよう、テレビを活用してショッピングを楽しめるサービスを提供したり、新たに大手メーカーとの合弁会社を設立し、省エネや環境保護にもつながる日本版スマートグリッドを推進するビジネスを展開するなど、新たなビジネスを仕掛けています。
次に、インターネット上のソフトウェアやアプリケーションをネットワーク経由で利用する「クラウドビジネス」においては、NTT西日本は今年から本格参入し、今後は医療、教育、行政サービス等のあらゆる分野における諸問題を解決しうる新サービスを創出していきます。そして、将来的には先述のスマートグリッドも含め、生活におけるあらゆる場面をICTの利活用によりサポートすることで、地域の活性化、さらには豊かで便利な環境に優しい社会づくり(スマートタウン)にも貢献していきたいと考えています。
このようにNTT西日本は、「サービス創造企業」として、これからも従来の固定通信事業者の枠を超えたチャレンジを続けていきます。
また、提供したサービスは使っていただかないと意味がありませんので、これまで通信インフラ会社として培ってきた"安心、信頼"を、新しいサービスにおいても維持し続けることで、お客さまにさらに満足していただき、それを積み重ねていくことで
豊かな社会を実現することも、NTT西日本の大切な“使命”です。
その精神のもと、先の東日本大震災においても、我々NTT西日本は総力を挙げて被災地の通信設備の早期復旧を支援させていただきました。人と人とを「つなぐ」ということ、それが120年間、脈々と続く我々の原点だと考えています。



