4つの仕事 10の職種|「サービス」をつくる仕事「研究開発」|永沼 正紘

4つの仕事・10の職種へ戻る
職種一覧を開く

新サービス実用化に向け、技術の最後の砦としてプロジェクトを統括する。

フォト1

研究開発センタの業務は「提案型研究開発」と「要望型研究開発」に大別される。提案型研究開発では、グリーンICTやモバイルネットワーク連携、ホームICTなど、近い将来、ビジネスとして展開できる新技術の研究を行っている。一方、要望型研究開発ではNGNのさらなる展開とその通信ネットワークを活用した新しいサービスの提供についてサービス企画部門や設備構築部門、保守運用部門から要請を受け、新サービスに必要な技術の開発・検証と、すでにお客さまに提供している既存サービスの使いやすさや品質・信頼性をさらに高めるための機能拡充に必要な技術開発・検証を行っている。

永沼が今、担当しているのは後者の要望型研究開発。新サービス提供にかかわる技術的な開発・検証・導入支援を行い、そのサービスの使い勝手や品質を技術面から担保することをミッションとしている。中でも永沼の所属する開発推進担当は、NGNに関する開発案件の全体統括として、装置やソフトウェア、アプリケーションなどの開発プロジェクトを、組織横断的に管理するプロジェクトマネージャー的役割を担っている。

「フレッツ光やひかり電話などのサービスは、NTT西日本の通信ネットワーク上でサーバーやルーター・スイッチなどのネットワーク装置、アプリケーションが連携することで実現されます。個々の開発は各開発チームが担いますが、それら全部が組み合わさることで一つのサービスとなるため、プロジェクト体制を組んで進めます。一つの装置で新たな課題や開発遅れが発生するとプロジェクト全体へ影響が波及し、最悪の場合、サービス提供の遅れなどにつながりかねません。そのため、私たち開発推進担当が開発の初期段階から導入・運用段階まで、開発プロジェクトの全体をコントロールし、QCD (※注1)を管理しています」

開発の出発点となるのは、サービス開発部門が作成した「サービス仕様書」だ。サービス仕様書は、サービス開発部門が販売部門・管理部門などと連携し、今市場でどういったサービスが求められているのか、という観点から策定される。その後、研究開発センタで、そのサービスを技術的に実現するために、個々の装置にかかる負荷や既に提供済みのサービスへの影響なども含めて詳細な技術検討を行い、どういった技術仕様で開発するのか、を「要求仕様書」に落とし込む。この要求仕様書通りの機能・性能を、協力会社である各種メーカーなどが装置に盛り込んでいく。その成果を各開発チームを通じて開発推進担当で取りまとめ、NTT西日本の通信ネットワークを擬似化した検証環境に組みこんで試験を実施する。さらに、そこで発見された不具合を修正しながら、最終的にトータルなシステムとして設備構築部門、保守運用部門へと橋渡しする。

また、開発して終わりではなく、開発したものが実際の通信ネットワークに適用し、安定して機能・運用できているか、他部門と連携し、通信ネットワークの状況に常に目を光らせている。

一つのサービスは複数の装置が連携して構成されているので、個々の装置開発が一つでも遅れると、サービスはスタートできない。サービス開始の日程は社内外に発表しているため、納期はまさに必達のミッションだ。

「そのためプロジェクト管理においては、各開発チームから課題や進捗状況が早期に上がってくるようなスキームを構築し、課題が浮上すれば、全チームを召集して対策を検討したり、研究開発センタという組織を代表して他の部門やNTT(持株会社)研究所、個々の機器メーカーなどへの対応を行い、課題解決に努めます。そのように課題を早期に汲み上げ、真正面から課題に対して立ち向かい、早期解決を図るというアグレッシブなマネジメントを行っています」

※注1)開発や製造のプロセスを管理するための重要な3つの指標。
Quality:品質、Cost:コスト、Delivery:納期。QCD管理とは、それら3つの面からプロジェクトを全体的に管理していく手法。
フォト2

物腰のソフトな永沼だが、「アグレッシブ」と語る時の表情は厳しい。例えば、実際の装置の基礎的な開発などを担うNTT(持株会社)研究所や各メーカーなどとのミーティングにおいては、「グループ会社だから」あるいは「これまで協力してきてもらった会社だから」などといった遠慮は微塵も差し挟まず、徹底的に不具合を指摘し、決して妥協することなく必要な要件を指示する。「品質の悪いものをNTT西日本の通信ネットワークに決して乗せるわけにはいかない」、それは永沼の譲れない信念なのだ。

実は永沼、現職の前には、西日本エリアのコアネットワーク設備を24時間・365日一元監視するオペレーションセンターで監視・保守業務に従事していた。何千、何万といった装置に対して障害を早期に検知し、お客さまのサービスに影響が出る前に、また、出ても最小限で済むように、迅速な措置を実施する。まさに「最先端技術が結集した現場の最前線」である。

「そこで時には、開発部門が想定しておらず、運用マニュアルにもないようなネットワークの挙動や障害を経験し、通信ネットワークが生き物のように刻々と変化していることを実感しました。こうした通信ネットワークの運用経験があるからこそ、そこに導入していく装置やアプリケーションの品質に関しては譲れない一線があります。短い期間で高品質なものをコストミニマムで開発するという厳しいQCDの条件をクリアしながら、それでもお客さまの期待を超えるサービスを死守する。研究開発センタは、いわば技術の最後の砦なのです」

NGNに関する開発案件のすべてが自分を通って世に出て行く。その責任の重さを永沼は理解している。だからあえて、開発側の目線だけではなく、常に導入側や運用側での目線、さらにはその先にある、実際にサービスをお使いになるお客様の目線で、開発プロジェクトに関わっている。

「私たち開発部門のメンバーは、販売部門などと比べると直接お客さまと接する機会が少ない。しかしその分、開発する製品やサービスに自分たちの想いを注ぎ込み、それをお客さまに伝えていくんだという意識は誰よりも強く持っています」

技術の最後の砦として、永沼は今日も目を光らせている。

4つの仕事・10の職種へ戻る
職種一覧を開く

このページの先頭へ戻る