家デジ特集|通信の力でお客さまを振り込め詐欺から守れ。~KIZUNAプロジェクト~

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場所を問わずコミュニケーションができる便利な環境を提供してきた通信。
一方で、その便利な機能を悪用した犯罪も増えている。
「便利かつ安心して」サービスをご利用いただくという使命感のもと、NTT西日本がお客さまを守る端末の開発に挑む。
鳥嶋 祐嗣 鳥嶋 祐嗣 1998年入社 法学部卒 サービスクリエーション部 新ビジネス部門 ネットバリュー担当(取材当時)
最近、子どもが生まれ、オフタイムは育児に夢中になっている。子どもとはこんなにかわいらしいものだったのか、と父性にめざめた自分に驚嘆。
八重津 和彦 八重津 和彦 1996年入社 自然科学研究科修了 サービスクリエーション部 新ビジネス部門 アライアンス推進担当
スキューバダイビング歴10年。メキシコやパラオなど海外にも遠征している。「トルネード」と呼ばれる魚の群れの中心に入った時には感動したとか。
濱村 文久 濱村 文久 2005年入社 環境情報学部卒 サービスクリエーション部 新ビジネス部門 アライアンス推進担当
10歳からテニスを続けている。学生時代はダブルスで全国クラスの実績を持つ。現在はNTT西日本の看板を背負い、実業団の大会に出場している。

通信会社としての使命感から始まったプロジェクト。

鳥嶋 祐嗣

高齢者宅にて、振り込め詐欺や悪徳セールスなど、怪しい電話がかかってきた時に、その場ですぐに息子の携帯電話につないで三者通話とし、自分に代わって息子に相手を撃退してもらう・・・。夢の話ではない。2011年春に発売予定の「KIZUNA(絆)」(※注1)が実現する振り込め詐欺対策のイメージだ。警察庁の発表によると、振り込め詐欺による被害総額は2009年で約100 億円に上る。被害者の大半は60歳以上の高齢者で、犯行の手口としては、身内や警察などを装った犯人が電話をかけてくるというものだ。「安心・信頼」を事業活動の基本とするNTT西日本として、自身が敷設している一般加入電話という通信インフラを用いた詐欺犯罪に対し、お客さまを守る対策を講じることができないかという想いから生まれたのが、デジタルフォトフレーム型電話アダプター「KIZUNA(絆)」である。

KIZUNAは、既存電話機に接続して用いるタッチパネル式のアダプターで、通常時はデジタルフォトフレームとして写真をスライドショーで表示する。電話発信の際は、フォトフレーム画面に表示される発信相手の写真にタッチするだけで発信が可能だ。 KIZUNAに内蔵されている電話帳に登録されていない番号から着信があった場合には、「登録されていない番号です。振り込め詐欺等にご用心ください」と画面表示と音声で注意喚起される。同時に、設定によっては相手方に「この通話を録音します」という案内を流すことも可能だ。そして通話中に、画面に表示されている身内などの登録者にワンタッチで発信し、即座に相談や確認を行ったり、三者通話へと切り替えたりすることもできる。これなら、高齢者でも簡単に使えて、振り込め詐欺をその場で撃退する有力なツールとなり得る。

実はこのKIZUNAの開発、鳥嶋が日常業務のなかで感じた使命感に端を発する。

「私は地元に両親がいて、普段は離れて暮らしており、実際に実家にも振り込め詐欺の電話がかかってきたため、振り込め詐欺は他人事ではありません。振り込め詐欺の件数が増加するのを横目でにらみながら、我々もサービス提供している一般加入電話を使ったこの犯罪に対し、自分たちが何かをしなければならないという使命感から対策を模索していました。そのなかで目をつけたのが、犯人と話している時にすぐに助けを呼べる三者通話の機能でした。NTT西日本には以前より、ネットワーク上の制御により三者通話を実現する『トリオホン』というサービスが存在しているため、これをうまく使って振り込め詐欺対策をかたちにしようと考えたのです」(鳥嶋)

さっそく鳥嶋は課長と2人で検討を進め、警察庁に照会してアドバイスをもらうなどしながらプランをまとめ、2009年10月に部門内で開かれた「第1回新規アイデアコンテスト」(※注2)にエントリーした。これが、何十件というアイデアが寄せられたなかで準グランプリに選出された。実際に事業化を視野に入れて検討してみようということになり、鳥嶋は、ひかり電話の開発に携わった経験を持つ八重津、同じく地元に両親を残している濱村をメンバーに加え、 KIZUNA開発プロジェクトを立ち上げた。

※注1)「KIZUNA(絆)」は、当該開発製品の現時点でのコードネーム。
※注2)新しい製品・サービス・ビジネスモデルなどのアイデアを社内公募して開かれるコンテスト。上位入賞のアイデアについては、事業化への道が拓かれている。

アイデアがアイデアを呼び、より魅力的な構想へ。

八重津 和彦

「当初はすぐに構想を実現できると踏んでいました」と鳥嶋は苦笑まじりに本音を明かす。というのも、利用するのは、すでにサービスとして存在するトリオホン(※注3)。それを振り込め詐欺対策に活かすという「新しい利用シーン」を提案すればいい。要はいかに啓発を行っていくか。プロモーションの問題だ。そう考えていたのである。しかし、プロジェクトはいきなり、暗礁に乗り上げることとなる。

「社内で確認してみたところ、トリオホンは1980年代に開発されたアナログ回線向けのサービスで、新たなサービスとして提供する場合、設備投資を要することがわかりました。しかも、三者通話に切り替える操作方法が高齢者には複雑でわかりにくかったため、トリオホンの使用を前提にするのは現実的ではないという結論に至りました」(八重津)

アイデアの核となっていた、そもそもの着想が崩れたわけである。それでも、メンバーの胸にある「振り込め詐欺からお客さまを守る」という炎は消えていなかった。三者通話を別の方法で実現する──。八重津から一つのアイデアが出た。

「ネットワーク側で三者通話を制御するような仕組みを新たに設けるには、莫大な投資が必要になります。そうではなく、端末側に操作する機能を設ければ、ひかり電話の『複数チャネル』(※注4)というサービスを使って三者通話が実現できるのではないかと考えました」(八重津)

この方法なら、既存のサービスを使うため、コストや開発スピードといった課題もクリアすることができる。ひかり電話の開発に携わった経験を持つ八重津ならではのアイデアだった。プロモーション開発から端末開発へと方向転換したプロジェクトは、さっそく端末の詳細検討に入った。三者通話という基本機能を軸に据えるのはいいが、それだけではお客さまへの訴求力が弱い。何かプラスαとなる付加価値はないか。そう頭を悩ませていた頃、お客さまサポートを担うグループ会社で端末の設置サービスについて打ち合わせをするなかで、「フォトフレーム型にしてはどうか」という発想が出てきた。

「それだ!と胸が熱くなりました。実は、当初のトリオホン活用プランを検討していた際、高齢のお客さまでも使いやすい端末はないものかと、電話メーカー各社のカタログや製品をかき集め、ボタンの大きさを定規で測ったりして詳細な分析を行ったのですが、結局これだと思える端末は見つかりませんでした。しかし、フォトフレーム型のタッチパネルにすれば、ボタンを任意のサイズにすることが可能です。これは、お客さまが直感で操作できる端末になるに違いないと確信しました」(濱村)

操作性というハード面に加え、ソフト面のメリットもメンバーを引きつけた。というのも鳥嶋自身、子どもの写真を入れたフォトフレームを両親に贈った経験があり、子世帯から親世帯へKIZUNAをプレゼントとして贈るという購入シーンが容易にイメージできたためだ。子が親を心配する想いと、孫などの写真を送りたいという想い。その両方を託すことができる「フォトフレーム型の三者通話端末」というコンセプトがここに誕生した。

※注3)通話中、フックボタンの操作で通話を保留し、ダイヤル操作で第三者を呼び出した後、再びフックボタンの操作で保留を解除することにより三者間通話ができるサービス。
※注4)ひかり電話1契約で、2回線分の同時発着信が可能となる、ひかり電話の付加サービス。ひかり電話を複数契約することなく、電話2回線分の同時利用や、電話とFAXの同時利用が可能となる。

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