企業連携特集|お客さまの心をつかみ、「売れる」キャンペーンを展開せよ!~フレッツ光×Wiiプロジェクト~

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「90日間狩り放題!」
人気ゲームソフトを使って仕掛けたキャンペーンが大ヒット。
家電量販店における新たなビジネスモデルを切り拓いたキャンペーン施策の現場を追う。
安井 裕貴 安井 裕貴 2006年入社 経済学部卒 営業本部 ビジネスパートナー営業部 第一営業担当
休日は、ホームシアターを完備した自室で映画を観たり、趣味の車でドライブをしたりするなど、独身貴族を満喫している。
松本 貴裕 松本 貴裕 2006年入社 経済部卒 営業本部 マーケティング部 IPサービス部門 IP営業推進担当
週末、景色の美しい自然のなかに身を置いて、多忙な1週間をリセットする。また、時にはスキューバダイビングなど、季節を問わず非日常を楽しんでいる。

同期仲間で結成した起爆剤ライン。

安井 裕貴(左)、松本 貴裕(右)

2007年11月28日、ゲーム業界と通信業界をあっと驚かせる発表がメディアを賑わせた。任天堂のWii(※注1)とNTT西日本のフレッツ光との接続推進に向けた協業である。ねらいは、家庭内における新しいエンターテインメントの創出だが、背景には両社それぞれの思惑があった。任天堂としては、Wiiの持つインターネット接続機能を利用して、よりゲームの楽しさを広げたり、お客さまの利便性を高めたいという思いがあった。一方、NTT西日本では、パソコンからのインターネット接続が頭打ちになりつつあるとの見方から、普段パソコンを使用しない「ノンPCユーザー」をお客さまに取り込むための仕組みを求めていた。そこで、「任天堂とタッグを組んだフレッツ光の接続促進プロモーションを行なう」というかたちで両社の想いが合致し、協業に至ったというわけである。

翌11月29日よりスタートした施策は大きく2つ。1つは「Wii/ニンテンドーDSiR×フレッツ接続サポートセンター(コールセンター)(当時の名称は、「Wii×フレッツ接続サポートセンター」)」である。これは、Wiiとフレッツ光のネット接続についてのさまざまなコンサルティングを行い、新規回線の受付から接続方法までをサポートするというもの。そしてもう1つが「Wii/ニンテンドーDSi接続設定パック(同:「簡単! 便利! Wii接続おまかせパック」)」の販売。この商品は、回線工事から機器セットアップまでをパッケージ化したもので、フレッツ光を新規にお申し込みいただくと、無線接続機器とニンテンドーポイント(※注2)に加え、スタッフによる訪問・設定作業か、ニンテンドーポイントの追加かをメニュー選択できるようになっている。つまりは、機器というハード面から、その設定やアフターフォローというソフト面までを提供することにより、ユーザーの「面倒だ」あるいは「接続の仕方がわからない」といった心理的・技術的障壁を軽減し、フレッツ光によるWiiのネット接続を促進しようと試みたのだ。こうした取り組みの主管部門が、松本の所属するマーケティング部である。

「ただ、当初はお客さまに『Wiiをフレッツ光につなげよう』というコンセプトをそのまま提示していただけでした。それだけではどうしても訴求力が弱く、販売の現場も何をどうお客さまに伝えればいいかが今ひとつ見えないという課題を抱えていました。そこで、Wii連携の第2フェーズとして、2008年12 月頃から、ゲームソフトとタイアップして特典を付けるキャンペーン施策を展開し始めました」(松本)

ちょうどそれは、家電量販店チャネルの拡販施策の推進を担当する安井が、ゲームに造詣が深いことを上司に見込まれ、ビジネスパートナー営業部における任天堂担当に任命されたころだった。安井は当時の状況をこう説明する。

「マーケティング部でさまざまなWii関連施策を実施してはいたものの、それらは全販売チャネルの横断を前提としたもので、家電量販店チャネルの特性を鑑みた時に『これは売れる!』と自信の持てる施策がありませんでした。家電量販店チャネルは、今やNTT西日本における売上シェアナンバーワンを誇る販売チャネル(※注3)。このナンバーワンチャネルを主軸に据えた施策を打ってもよいのではないかと考えたのです」(安井)

しかし、家電量販店市場のメイン商戦である、その年のクリスマス商戦は終わり、正月のお年玉商戦も間に合わない。次に売上を見込める時期となると、フレッツ光の新規加入ニーズという観点から、引っ越しシーズンの3月~4月しかない。では、ゲーム市場のニーズとしてはどうか。 ゲーム業界の動向を注視していた安井は、この時すでに、株式会社カプコンの人気のゲームソフト「モンスターハンターG」が4月23日に発売されるという情報をキャッチしていた。そして、同期入社であるマーケティング部の松本に「4月の引っ越し商戦に合わせて、家電量販店で"お祭り騒ぎ"を仕掛けよう」と持ちかけたのだ。この「安井×松本」ラインが起爆剤となり、ここからプロジェクトは爆発的な推進力で急速な盛り上がりを見せていく。

※注1)任天堂が2006年から世界各国で発売した家庭用据え置き型ゲーム機で、直感的な操作を実現した「Wiiリモコン」が特徴的。
※注2)「Wiiショッピングチャンネル」で販売されている有料ソフトを購入したり、一部ゲームソフトの有料追加コンテンツを購入したりする際に用いるポイント。
※注3)NTT西日本はフレッツ光を販売するにあたり、家電量販店やインターネットサービスプロバイダーなどの代理店チャネル、あるいはコールセンター、訪問販売など、さまざまな販売チャネルを持っている。そのなかで、最も高いシェアを占めているのが代理店チャネルであり、なかでも家電量販店は最大の販売数を稼ぎ出すナンバーワンチャネルとなっている。
※ Wii、ニンテンドーDSは任天堂の登録商標です。
© CAPCOM CO., LTD.2009 ALL RIGHTS RESERVED.

「ゲームコーナーで売るのは難しい」という固定観念を打ち破る快挙。

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「モンスターハンターG」について、安井は「ターゲットである『ゲームユーザーのお客さま』にもっと響く打ち出しをしなければ売れない」と考えた。

「チラシ一つとっても、NTT西日本の作り方・伝え方はとてもまじめです。しかし、家電量販店のチャネル戦略で考えた時には、お客さまに与える印象がどうしても弱くなってしまいます。たとえばこの『モンスターハンターG』では、通常の特典に加えてさらに1500ニンテンドーポイントを付けるキャンペーンにするよう提案したのですが、それもそのままお客さまに伝えてしまうと、『1500ニンテンドーポイント付いたからどうなるのか』というぼやけた印象を与えかねない。ターゲットであるお客さまの志向や特性を考慮し、伝わるように翻訳しなければ、お客さまの心には響かないのです」(安井)

チラシなど全社展開の販売促進に用いるツールも、安井は自らチラシの原案を作って松本に「これでいきたい」と提案した。キャッチコピーは「まだ見ぬ狩友と、Wiiのネットワークで狩猟生活!」。メインビジュアルには、「モンスターハンターG」の狩猟シーンを配置した。このイメージと松本たちのチームの考えたキャンペーン名「60日間狩り放題キャンペーン!」とが見事にマッチした。「1500ニンテンドーポイントで、ネットワークモードが60日間利用できるハンティングチケットが購入できるので、それでゲームを思う存分堪能できる」(※注4)という、お客さまに『響く』表現を考えた。まさにゲームファンの安井ならではの、ツボを心得た表現だった。

しかし、安井の所属するビジネスパートナー営業部内では、「これだけでは売れない」「根拠が無い」といった批判が続出した。というのも、過去にゲームコーナーでフレッツ光販売が大ヒットした成功体験が全国的には少なかったことに加え、4月の引っ越し・新生活商戦で家電量販店が注力するのはパソコン、テレビ、生活家電がトップ3と決まっている。ゲーム施策に手を割いている余裕などないという見方が大勢を占めていたからだ。だが、安井は折れなかった。

「これは絶対に当たる、そう主張し続けました。正直言うと確信はなかったのですが、『モンスターハンターG』が非常に訴求力のあるタイトルなので、それに期待したい気持ちと、あとは本当に直感的な根拠なき自信と、このままではいけないという想い。それらに突き動かされるように上司に熱く語ったところ、『そこまで言うならやってみろ』と承諾を得ることができました」(安井)

GOサインを得た安井は、予算も期間もないなかでの協力をあおぐため、「メールだけでは伝わらない」と西日本33支店すべてに電話をかけた。安井はあくまでも本部セクションに身を置く旗振り役。実際に各地の家電量販店に働きかけるのは、各支店の代理店営業担当の仕事だ。彼らが動いてもらわないことには実現は不可能だったのである。

安井 裕貴

「NTT西日本らしからぬ斬新なデザインのチラシやポスターを各支店でプリントアウトして店頭に持って行ってもらうという、文字通り手作りのキャンペーンでした。ただ私自身、絶対に失敗させてはならないという想いから、とにかく動けるだけ動きました。3日に1回のペースで各支店に連絡をとり、成果を出しているところには取り組み内容を確認したり、場合によっては店頭の写真を撮ってきてもらったりしながら、成功事例として全支店で共有しました」(安井)

安井は、「本社の人間がそこまでやるのか」と言われるほど動いた。これでもし結果が出なければ、「ゲームコーナーでは、やはり売るのは難しい」という烙印を押されることになる。たとえパワープレーになろうとも、数字だけは絶対に出すしかない。そんな信念を胸に、がむしゃらに先頭を走り続けた。その結果、何とこれまでのゲームコーナー担当者の印象が変わるほどの成果をたたき出したのである。

「ほっとしました。協力していただいた家電量販店さんや各支店、マーケティング部などに何とか顔向けできるなと。特に、家電量販店のゲームコーナーでフレッツ光をお勧めすることが根づいたのがうれしかったですね。家電量販店の場合、多くの商品が、引っ越しやボーナス、クリスマスなどの決まった商戦時期に盛り上がるのに対し、ゲームは完全に人気ソフトの発売時期に売上が左右される特殊な商品。この特徴をうまくとらえれば、他商品コーナーが動いていない時期に、フレッツ光の契約が取れるコーナーを作ることができます。私のねらいはまさにそこにあり、この『モンスターハンターG』は、そのきっかけになったと考えています」(安井)

安井とは立場が異なり、全チャネルの売上を横断的に管理しているマーケティング部の松本も、この結果には大きな可能性を感じた。

「家電量販店チャネルのゲーム施策に対して、これまで持っていた以上の期待感を抱かせてくれる結果でした。ゲームとインターネットの親和性や、これまでにずっと先輩方が耕してきた土壌に、安井君という起爆剤が加わって、爆発的なヒットになったのです」(松本)

実はこの成功体験を、安井と松本の間では以前より、次なる戦略への布石ととらえていた。というのも数カ月後の2009年8月には、新作の「モンスターハンター3(トライ)」が発売されると知っていたからである。ゲームユーザーにとっても、家電量販店にとっても、そしてNTT西日本にとっても、さらに期待の膨らむソフトだった。「モンスターハンター3(トライ)」の発売に向け、社内をはじめ、家電量販店やソフトメーカーまで巻き込んだ強い協力体制を組むためには、「モンスターハンターG」の成功を是が非でも手にしたかったのである。

※注4)「モンスターハンターG」および「モンスターハンター3(トライ)」には、ニンテンドーポイントを利用してプレイできるオンラインサービスが用意されており、例えば1500ニンテンドーポイントがあれば、60日間、2000ニンテンドーポイントであれば90日間のオンラインでのサービスを利用することが可能となる。
※ Wii、ニンテンドーDSは任天堂の登録商標です。
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