Work

PROJECT STORY 05廃棄物を排出する人、収集する人。
世の中全体にもメリットをもたらす
IoTソリューション。

NTT西日本
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MISSION
ミッション

IoTで、何ができるか。
産業廃棄物の効率的な収集運搬モデルに
LPWAを活かすアイデアが出発点。

IoTを用いたデータの価値化による新ビジネスの創出へ、BD部の地方創生チームとIoTネットワークチームが連携。さらに地域振興・活性化をデザインするT&Aも巻き込み、産業廃棄物処理の効率化モデルに挑戦するプロジェクトが始動する。海外に先例モデルはあったが、日本では未踏の領域でそのまま導入しても通用しないこともわかった。

望月
IoTとクラウド、総合生活基盤。その3つを視野に生まれたのが、IoTで産業廃棄物を回収するアイデアでした。調べてみたら、海外にはすでに成功事例があって、大きなごみコンテナにセンサをつけて量を測定し、収集車が運搬ルートや回数を効率化してロスをなくしていました。実績のあるフィンランドのセンサメーカーにも詳しくヒアリングした結果、「日本でも、ビジネス化できる可能性がある」と判断しました。
そんな時、地域行政の視点で社会課題の解決に取り組むT&Aの中峯さんと出会って、どうすれば解決できるか、日本なりの仮説を立てていこう、と決意しました。
中峯
T&Aは京都をフィールドに、自治体行政を支援する事業を展開しています。だから、「いま、こんな課題がある」という情報に接する機会も多く、その一つがICTがうまく活用できていない産業廃棄物の回収でした。 望月さんと意気投合した後、一緒に廃棄物業界で働く知人に現状を聞いたんですよね。そしたら、ごみの量と収集車の動きがうまくマッチングしていない…、とムダが多い悩みを打ち明けてくれました。それで、仮説をぶつけてみたら「こんなのあったら、助かるよ!」と。そのひと言が、実質的にプロジェクトの始まり告げる瞬間でしたね。

確かなニーズはある。だが、どうすれば解決できるのか。海外の成功事例をそのまま導入するのか、独自に新たなモデルを創り出すのか。選択肢があるなかでまず、基軸となる通信ネットワークに選んだのが、NTT西日本が先駆者として実用化を推進するLPWAだった。

望月
実は、海外の成功事例のヒアリングで「商習慣が違うので、うまく日本には入り込めていない」と聞いていました。だからこそ、チャンスがあると気づいたんですが、まだその時は「日本ではなぜ、何が、うまくいかないのか」を解き明かす途上で、海外ではごみ貯留量の測定に3Gモバイルセンサを使っていました。「LPWAなら、もっといい仕組みができるはず」と考えて、BD部内のLPWAチームに相談して、それでやってみようという流れができました。
ちょうど、産業廃棄物の専門誌に京都府の方が「IoTで、こんなごみ収集の効率化を実現したい」と寄稿しているのも見つけました。その構想が、私たちが思い描く姿に、ピッタリ一致してたんです。すぐに中峯さんに「京都府さんに、アプローチかけていこう!」と。T&Aさんは京都密着ですし、偶然ですがそこも見事にマッチングしていました。
梅村
望月さんから相談を受けて、最初に思ったのが「その仮説モデルって、LPWAの特色に合っているな」と。
LPWAの用途開発では、すでにガスや水道のスマートメーターや、ビニールハウスの温度測定などがあります。定期的に情報データを取得する必要があるシーンに、省電力で広域通信ができる強みをうまく活かせる最適な通信ネットワークが、LPWA。産業廃棄物の回収も、定期的に排出されるごみの量をデータ化し、広域エリアをカバーできる。それはWiFi等では難しいこと。黎明期にあるLPWAを世の中に根づかせていくチームにとっても、NTT西日本グループにとっても、挑戦する価値が大いにあると感じました。
中峯
望月さんは、大企業の社員らしくない(笑)。とても自由な発想で、フットワーク軽くどんどん動いていく。メールだけでなくチャットをしたり、互いのオフィスを訪ねて気軽にミーティングをしたり。NTT西日本さんは誰もが認める大企業なのに、こんなに自由な働き方ができる会社なんだ、と。このプロジェクトをどんどん前へ進めていけると感じましたし、楽しみも膨らみましたね。

TRUNING POINT
ターニングポイント

新たに産業廃棄物のプロフェッショナルが参画。
センサメーカーも加えた4社共同事業体として
IoTで産業廃棄物の収集運搬を効率化する
国内初の実証実験の公募へ、再始動。

具体的なビジネスモデルの検討を進めるなかで、京都府が最適な収集運搬ルートの選定など、産業廃棄物の効率的な処理モデルを検証する実証実験を「IoT・スマート産業廃棄物削減対策事業」として公募する、とのニュースが飛び込んでくる。明確な目標を得たプロジェクトは、新たに廃棄物・環境ビジネスのコンサルタントであるエックスと、センサデバイスメーカー・NISSHAの両社を、仲間に迎えることになった。

望月
実証実験の公募を知ってある意味、私たちの仮説が立証されたと感じましたね。そのままやっていけばいいんだぞ、と。 ただ、入札して選定されるためには、より専門的な知見を持ったパートナーが必要になる。そこで青野さんに相談へ行ったんですよね。
青野
産業廃棄物の処理コストは約5.3兆円規模。その半分の2.6兆円が収集運搬と言われています。2016年には「廃棄物処理・リサイクルIoT導入促進協議会」(協議会)が産官学連携で発足し、排出から収集、最終処分まで一連の流れをIoT化で合理的にしましょう、というコンセプトもできました。 集めるごみを平準化し、貯留施設も不要になって処理コストが縮小する。そんな期待が高まる一方で、そのための仕組みやツールが何もない状態でした。夢物語で終わりかねない…と危惧するなかで、プロジェクトへのお誘いはそれを具体化し、実現へと近づけるチャンス。まさに渡りに船の気持ちで、ぜひ参画させてください、と。

NTT西日本は通信ネットワーク、T&Aは地域デザインのプロフェッショナルだが、同様に産業廃棄物やセンサデバイスについても、その道を究めた強力な仲間を得て、「専門家集団」の共同企業体を編成。想いを一つに、新モデルの構築と入札をめざしていく。

望月
海外には産業廃棄物と一般廃棄物の区別がないこと。収集の仕組みを変えれば、最終処分場の焼却炉や貯留施設の設計規模の改善にもつながること…。青野さんから聞く話はどれも衝撃的でした。 誰もが収集の効率化だけしか見ていないなかで、産廃業界を知り尽くしていないと「ごみが出て、集めて、中間処理して、最終処理して、燃やす」というトレーサビリティーのすべてを考えられない。そういう発想はNTT西日本の独力では生まれないし、プロジェクトの提案も、深みがあってインパクトあるビジネスモデルになる、と確信しました。 NISHHAさんも頑張ってくれましたよね。ゼロベースから1ヵ月足らずでセンサを開発。ごみカートへのセンサの取付も、設置方法や位置を3パターンに大別して、提案書に盛り込めました。
青野
民間ビジネスの産業廃棄物は、一般廃棄物よりも規制が厳しいので、単純に「量を計測し、データを飛ばして効率化」とならない壁がある。海外はごみの成分で分類しますが、日本は製造業や建設業など事業活動で排出されるごみが産業廃棄物で、それ以外が一般廃棄物。出どころによって名前も処理方法も変わる。前提が全然違うから、海外の成功モデルが通用しないんですよ。

産業廃棄物業界が描く設計図を、具体化できる仕組み(LPWA)もツール(センサ)も知見(産業廃棄物ノウハウ)も、プロジェクトには揃っている。迎えた2017年10月、大手携帯キャリアなど4社が競合した公募入札で、他を圧倒する「88点」の最高得点を得て、選定された。

中峯
2位に24点もの大差をつけられたのは、事前に仮説を持って動いたことが大きかったですね。公募後もいち早く、実証モデルに指定された排出事業者や収集運搬を担う京都環境保全公社さんを回ってヒアリングも重ねました。カートに、センサをどう取付ればうまく測定できるかなど、「何を、どうするか」を具体化できた提案が、「よく練れているね」という高評価につながったと思います。
望月
ヒアリングも、産廃収集のルールを「こいつ、わかっているな」と思ってもらえるから、受け入れ方も、引き出せる情報量も違う。さらに現場の声を持ち帰って、すぐに青野さんに相談できる(笑)。公募後に動き出した他社と比べて、「理解の深さが違う」というのが決め手になったと思いますね。
青野
それぐらい、精度の高い提案だったということ。現状データをオンタイムで見られるだけはなく、それを基にAIで需要予測にもつなげて、収集運搬のシフトまで決められるようにしよう、というのは、私たちだけでしたからね。
梅村
LPWAにおいても、提案段階から京都市内にアンテナを立て、電波の飛び方を事前検証することで実際に利用可能なエリアを明示することでより説得力のある提案書にできました。最適なLPWAのネットワークを構築する上で、アンテナの高さや周辺環境は非常に重要である。はより高い位置に付けた方が、電波は飛びやすい。しかしながら、都市景観を守る条例がある京都市は、指定した場所に設置できないケースもあった。環境の良い場所を探す苦労もありましたが、選定が決まって報われましたよ(笑)。
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