CROSSTALK - 03

研究開発者編

最先端技術と社会課題
まだ見ぬ未来を創る、

研究開発者たち

PROFILE

Yasuo Makibayashi

デジタル改革推進本部
技術革新部 担当部長
1997年入社

Yuki Hayashida

株式会社NTTスマイルエナジー
価値づくり本部 課長
2004年入社

Hideto Ookubo

株式会社ジャパン・インフラ・ウェイマーク
サービス開発部 担当課長
2004年入社

※掲載内容は取材当時のものです

通信インフラのスタンダードを創ってきた研究者開発者たち

槇林: 今から約20年前、私が入社3年目の頃の話ですが、フレッツ光プレミアムという光ブロードバンドサービスの開発に携わりました。フレッツ光という世界的に先端の大規模IPv6ネットワークを構築しました。当時めざしていたなにもかもがつながる世界、今まさにそういう時代になったと言えます。自分たちが作ったネットワークが多くの家庭に行き渡り、自分の家にも届き、まさに世の中が便利になっていくという実感がありました。

大久保: 私は土木インフラを専攻していた学生時代にインターネットと出会い、生活が変わっていくのを実感していました。世の中にインパクトを与える仕事がしたいと思い、NTT西日本に入社しました。3年目からは槇林さんと同じ部署で主にフレッツ光サービスの開発に携わりました。

林田: 私は大久保と同期入社です。学生時代は光ファイバーを建物の中に張り巡らせて、構造のズレなどを検知する研究をしており、光ファイバーを通信目的としては使っていませんでした。光ファイバーを使って他に何かできないかと、高額な装置で動画配信の研究をしていましたが、その際にカメラで撮影した映像が別の場所に綺麗に映るのを見て「通信は凄い」と感動したことがきっかけで、NTT西日本に入社しました。

通信の壮大な仕組みを構築したインパクトのある仕事

槇林: フレッツ光の開発では常に最先端のものに触れているという意識がありました。今では「あたりまえ」になっていますが、当時は通信用のプロトコル(通信方式)もまだ整備されていない時代だったので、私たちが中心になって構築したことは自画自賛ではないですが、誇れる仕事ができたと思っています。なにより、最先端の仕事ができている充実感があり、とても楽しかったですね。今ではあたり前ですが、当時セキュリティ機能を標準装備したことが画期的で、世界中から教えてほしいと言われるほどでした。

林田: 確かに画期的でしたよね。そして、その自画自賛されているセキュリティ機能を私が開発していました。セキュリティ機能もそうですが、通信は裏側に凄い仕組みがあります。アプリケーションが一つ動くと、通信の中では、色々なことが起きています。様々な開発を経験していくなかで、通信を単純に使うのではなく、もっと価値を出せないかと考えるようになりました。

大久保: 付加価値を作るのは、通信を扱う醍醐味ですよね。今ではスマホを使えばすぐにインターネットとつながる世の中ですが、林田の言う通りその裏側は複雑に入り組んでいて、知れば知るほど奥深い世界が広がっています。その一部をしっかり作ったことは、まさに生活を変えるインパクトのある仕事ができたと言えます。

通信サービスの会社ではなく、ICTを活用する社会の課題解決企業へ

槇林: NTT西日本と言えば「通信サービスの会社」という印象が強いですが、最近ではICTを活用した社会課題の解決に本気で取り組んでいます。通信サービスにこだわるのではなく、通信サービスを手段として、社会に潜む様々な課題を解決していこう。そのフラッグシップと言えるのが、林田くんのいるNTTスマイルエナジーや大久保くんのいるジャパン・インフラ・ウェイマーク(以下、JIW)ですね。

林田: ありがとうございます。まさに、その意気込みでいます。NTTスマイルエナジーは、AI・IoTといった先端技術を活用して、国内外のエネルギー問題の解決に貢献する会社です。今は、エネルギーミックスの時代で、火力や原子力だけでなく自然の再生可能エネルギーを交えていかにエネルギーを自立させていくかが命題となっています。そこに寄与するサービスとして、お客様にもメリットがあり、国力にもなるような技術やサービスの開発を支援していきたい。その一歩となるのが、太陽光発電の遠隔監視サービス「エコめがね」です。

大久保: スマイルエナジーはエネルギーという課題に立ち向かっていますが、私がいるJIWは、ドローンを活用したインフラ点検を行うことで、インフラの老朽化という社会課題に立ち向かっている会社です。2019年の4月に設立されたばかりで、インフラ点検サービスやその制御・管理システム、ドローンの機体開発を行っています。すでに提供しているサービスもありますが、数か月後に提供するサービスの開発、2〜3年先を見据えた技術開発も同時に行っています。

暮らしを支える、未来を変える。通信の枠を越えたサービス展開

槇林: 私はR&DセンタでAI・IoTなどの新技術によるサービス創出をめざし、研究開発を実施しています。私は複数あるプロジェクトをマネジメントしながら、成功への道筋を作っています。最近注力しているのは、IoT を活用して認知症になる手前の段階を発見する技術の開発です。政府を中心に誰もがより長く元気に活躍できる社会の実現をめざしているなか、私たちも地域社会に潜む課題の解決によって、実現したい未来を創るべく、本気で取り組んでいます。

林田: 私の取り組んでいる太陽光発電に関する事業は、学生の皆さんから見ると、NTT西日本の中において異色に映るかもしれません。ただ、社会に潜む課題の解決という観点では重要なテーマとなっています。たとえば避難所にて太陽光発電があれば、自立電源として活用し、炊き出しはできるしお風呂も沸かせる。社会全体として持続可能エネルギーである太陽光発電の普及は重要な課題だと感じています。とは言っても導入にはコストという課題があります。そこで、導入コストを抑えるために家や工場の屋根を私たちが借りて無料で太陽光パネルを設置し、そのエネルギーをお客様に購入してもらうサービスをはじめました。ある程度の採算が取れれば太陽光発電設備は譲渡するため、自家消費へとつながります。これを学校に拡げることで、災害時の避難所として、活用いただけます。

大久保: ドローンによるインフラ点検も、社会課題の解決につながっています。日本は世界にも例をみないくらい多くのインフラを持つ国ですが、実はその大部分が1964年の東京オリンピック開催時に作られたものです。毎年のように補修や点検に高額な国家予算が使われているため、そこを出来る限り効率化し日本の成長のための原資を生み出したい。さらに点検や補修ができる技術者の高齢化も課題となっており、今までのやり方を続けていくことが困難になると言われています。そこでドローンやAIの技術で効率化、高速化し、点検に関わるコストを圧縮しながらノウハウを継承していくことに取り組んでいます。

NTT西日本の強みは通信という根幹を持ちながら、それを手段に使えること

槇林: 会社が通信を手段として様々な社会に潜む課題を解決しようとしているなかで、社員個人も「通信は武器ではなく手段」といつ気付けるかが重要です。私は約10年前にアメリカで行われた研修に参加したときがターニングポイントでした。そこではいろいろなことを学びましたが、特にビジネス研修において「安定した会社で、一度くらい失敗しても怒られない会社で、何もしないのはもったいない」と言われたのが特に印象に残っています。太陽の色は何色かと聞かれて「オレンジ」と答えるのはコンシューマーのまま。「どんなオレンジ色かを答えるのがビジネスだ」と。この研修を機に、気付くことの大切さを学び、通信を手段として捉えられるようになりました。

林田: 確かに通信を手段として捉えられる考え方を持てるかは大きなポイントですね。ただ、NTT西日本の強みは何かと問われれば、私は通信が下地にあることだと思います。システムをつくるときに通信の方式や機能を考えることは避けては通れない道です。通信の仕組み、インフラそのものをわかっているから、お客様が直接触れる部分をつくるときもシステム全体のイメージをしっかり描ける。地味に思われるかもしれないですが、通信が下地にあるというのは大きな強みではないでしょうか。

大久保: 私も同感です。通信の強みを理解していることで、そこに様々な技術を掛け合わせて統合していくこともできると思います。技術を理解していて、ビジネス的な目線も持ち、具体的な体制やパートナーシップのイメージもできる人がNTT西日本には多いです。課題を挙げるなら、NTT西日本は最先端な技術開発に携わりながらも石橋を叩いて、さらに叩いてから渡る堅実性があるため、今後は若手を中心としたアイデアや勢いがある人材によってスピード感が増して行けば、より社会に潜む課題を解決できる企業として発展できると確信しています。もちろん、私たちもまだまだ若手の気持ちで取り組んでいます。

社会と深く関わることで、世の中を変える人になろう

大久保: プログラミングやUI・UXをデザインできるスキルなど、何かしらの得意分野はあるに越したことはないですが、それより学生の間はなるべく外の人や、社会と関係を持つことが大切です。私も研究室にこもりがちでしたが、率先して外に出て行き、自分の知らない考え方や経験と出会うことで視野が広がりましたし、そうした経験が今も活きています。

林田: 私も同感で、外部の方と触れ合う機会は必要だと思います。今は検索すればすぐに答えが分かる時代です。だからこそ、自分で考える力を養ってほしいです。たとえばニュース1つにしても、自分ならどう思うかを考えて発信する。つまりアウトプットするには、相手が必要です。大久保が言う通り、外に出て色々な人と関わることでアウトプットする機会も増え、自然と自分で考える機会が増えていきます。私は今でも自分の考えをアウトプットすることを大切にしており、こうして取材を受けて話す機会や、セミナーや勉強会で登壇して話をする機会を積極的に作っています。

槇林: 二人が言う通り、外の世界を知ることはとても大切だと私も思います。加えるなら、私自身もそうですが技術者はポジティブな方が良いと思います。前へ、前へ。失敗を恐れずにどんどん挑戦すること。失敗は次の成功へとつながります。あと、決めたことをやりきること。アメリカで言われた言葉ですが、「Last man standing」。最後の1人になっても諦めてはいけない。やりきらないと強くはなれない。目標をしっかり持って、アプローチは何でもいいのでやると決めたことを続けてください。いつか、やりきった経験が力となってあなたを強くしてくれます。大丈夫です。NTT西日本でなら、1人になることはありません。ここにいる、大久保くん、林田くんのように頼りになる技術者達が、あなたが挑戦する際に、大きな力になってくれます。