BUSINESS FIELD

Solution Business ソリューションビジネス分野

企業や自治体、公共機関といったお客さまが抱えるさまざまな課題に対し、
通信ネットワーク環境の提案や、社内外の新たな技術やシステムを組み合わせた
多様なICTソリューションを提供しています。
お客さまに寄り添うパートナーとして共に課題解決に取り組み、
社会全体に新たな価値を創造しています。

事例紹介 LoRaWAN™を活用した
水門・陸閘遠隔制御プロジェクト

事例紹介 画像1

さまざまな分野にICTが活用される昨今、東日本大震災や全国各地の集中豪雨、
火山噴火などの災害を通して、国や各地方自治体は防災・減災対策における
ICTを活用した新インフラの導入を検討し始めている。
このプロジェクトは、低消費電力で広範囲をカバーできるLPWAおよび専用線サービスを活用した
水門・陸閘(りっこう)遠隔監視・制御システムを神戸市向けに構築することにより、
地震による津波発生時などに多くの人の命を救うことを目的としている。

  • NTT西日本
  • NTT西日本ビジネスソリューションズ
  • NTT西日本ネオメイト

MEMBER

  • 北条 親央
    NTTビジネスソリューションズ
    ビジネス営業部
    公共営業部門
    兵庫営業担当
    北条 親央
  • 山口 良
    NTTビジネスソリューションズ
    ビジネス営業部
    SE部門
    第三SE担当
    山口 良
  • 谷水 かんな
    NTTビジネスソリューションズ
    ビジネス営業部
    SE部門
    第七SE担当
    谷水 かんな
  • 仁木 啓司
    NTTビジネスソリューションズ
    ビジネス営業部
    SE部門
    第七SE担当
    仁木 啓司
  • 宮田 健
    NTTネオメイト
    ITビジネス本部
    ネットワークサービス推進部
    ネットワーク担当
    宮田 健
  • 徳永 明泰
    アライアンス営業本部
    ビジネスデザイン部
    IoTビジネス部門
    ビジネス開発担当
    徳永 明泰

  港町、神戸を災害から守るプロジェクトが始動

  港町、神戸を災害から守るプロジェクトが始動

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水門・陸閘は、海水の浸入または浸食を防止するための施設であり、地震による津波からの被害を軽減するためには、これらを迅速かつ確実に閉鎖する必要がある。現在、神戸市を含め多くの自治体では津波発生時の対応として、操作員(自治体職員および地域の協力者)が現地に赴き、水門・陸閘の開閉状態を確認し閉鎖することとなっているが、その際の操作員の安全確保や閉鎖作業の効率化が求められている。

神戸市では、今後30年間で70~80%の発生確率があるとされる南海トラフ巨大地震への対策に向けて、地震発生時の水害対策に取り組んでおり、できるだけコストを抑えた上での水門・陸閘の遠隔監視と遠隔制御を維持できる方法を模索していた。そこで浮かんだひとつのキーワードが「LPWA(Low Power, Wide Area)である。LPWAとは、その名の通り低消費電流で長距離のデータ通信を可能にする無線通信技術だ。神戸市ではLPWAの代表的な規格の一つである「LoRaWAN™」の導入を検討していた。

一方、NTT西日本では2017年7月から福岡市においてLPWAのフィールドトライアルを重ねてきており、十分な検証結果が得られていた。北条と徳永は「LPWAは電波がよく飛ぶうえに、消費電力を抑えられるので、神戸市さまのご要望に応えられるはず」とプロジェクトを立ち上げた。その後、開発の山口、仁木、谷水、宮田らも「これが成功すれば、西日本から全国に広まり、多くの人々の命を救うことができるかもしれない」と未来への希望を胸に抱き、プロジェクトメンバーが集結した。

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  世の中にまだないモノを生み出す大変さ

  世の中にまだないモノを生み出す大変さ

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LPWAは、海外では多くの実用例があるものの、日本ではまだ各社が参入を始めたばかりで実例がない。それが、神戸市の導入決定を慎重にさせる要因になっていた。そこで北条らは神戸市の職員とともに神戸市内にある数十カ所の水門・陸閘を回って電波状態を検証するフィールドトライアルを提案。数日間にわたる共同調査結果や、NTT西日本が手がける他の実証実験結果を丁寧に説明することで神戸市の理解を得られ、システム導入に向け大きく一歩前進した。

しかし、問題はそれだけではなかった。「LPWA対応水門・陸閘開閉検知用デバイス」という、世の中にまだ存在しないものを作らなければならない。ないものを作るには、技術もコストも時間も必要になる。「お客さまのご要望に応えたい」という強い想いを抱く開発メンバー総出で、IoTに知見のあるあらゆる協力ベンダーを回り交渉を続けた。実現は困難かと思われた矢先、ようやく、ある一社から「前例のないチャレンジングな案件だが、今後の日本の防災に欠かせない取り組みになる。ぜひ協力させてほしい」いう返事をもらうことができた。

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  技術で命を守る。プロジェクトを大きく動かした使命感

  技術で命を守る。プロジェクトを大きく動かした使命感

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屋外かつ海岸や河川という過酷な環境に設置されるデバイスは、風雨や塩害にも耐えうるものでなくてはならない。まずネックになったのは、消費電力だ。いくら消費電力の低いLoRaWAN™でも、頻繁に送信すると電池を消耗してしまう。河川であればソーラーパネルでの自家発電が可能だが、ほとんどの太陽光発電は海岸近くの塩害地域に対応していない。そのため、純粋にデバイスのバッテリーでの対応が必須だった。信頼性・耐久性の担保をめざし、プロジェクトメンバーは協力ベンダーと二人三脚で試行錯誤を繰り返し、日本初のデバイスの開発にこぎつけた。LPWAについても、フィールドトライアルで十分な結果を出したものの、さらに受信精度を上げるべく、電波調査を重ねていった。有事の際、万に一つでも不備があれば大惨事につながる。「技術で命を守るんだ」という強い想い。何もかも初めてのことばかりだったが、自分たちの技術で社会に貢献したいと願うメンバーと、モノづくりに誇りと使命感をもつ協力ベンダー、両者の思いが共鳴しあったからこそたどり着いたゴールだった。入社一年目でこの大プロジェクトのメンバーに抜擢された谷水は言う。「まだ誰もやったことのないことにチャレンジすること。自分の仕事が人の命を守ることにつながるということ。わからないことだらけの中でも、そのことがモチベーションになりました。そしてNTT西日本だからできる仕事があると実感しました」。

2016年からトライアルを続けたLPWAを、防災分野で社会実装することとなった今回のプロジェクト。これを皮切りに、NTT西日本では今後、全国の海洋保全施設への導入をめざしている。

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