PROJECT
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時代にマッチした“多言語”を核に、
新たなビジネスを創出

2015年6月、QRコードを使った多言語翻訳サービス「QR Translator」がリリースされた。訪日外国人の増加や東京オリンピック開催に向けた多言語環境の整備だけではなく、廃止の危機にあった多言語通訳サービスのコンタクトセンタを建て直したいという、井上の思いが詰まったサービスだった。その挑戦は、NTTマーケティングアクトの新たな柱となるビジネスをも創出することとなった。

井上 雅博

NTTマーケティングアクト
カスタマーソリューション事業推進部
コンタクトセンタビジネス部門 営業企画担当
2011年4月入社
経済学部 経済学科

QR翻訳サービスに着目
半信半疑の社内を説得!

2014年10月、井上は全支店の営業をサポートする営業企画というポジションに配属された。井上に課せられたミッションは「売上拡大に資する商材のスクラップ&ビルドおよび、新規事業の立上げ」。新規事業の立ち上げを考えたときに、井上は多言語通訳サービスのセンタ運営に着目する。インバウンドの増加や2020年の東京オリンピックに向け、多言語での環境整備のニーズは年々増加しており、今後さらに高まるはずだと井上は考えたのだ。しかし当時の多言語通訳センタは、お客さまからの問い合わせに迅速に対応できるよう多くのオペレータを配置していたが、お問い合わせがない間オペレータが持つスキルをいかに有効活用できるかという問題を抱えていたという。「世の中のニーズには対応しているサービスだったので、これをNTTマーケティングアクトの軸となるサービスとするにはどうしたらいいのかということをしきりに考えましたね」。

そして、井上は悩んだ末に一つの策にたどり着いた。「翻訳業務を請け負うことを思いついたのです。翻訳業務があれば、多言語通訳センタにいるオペレータのスキルを活かし、より効率的にセンタ運用ができるはずだと考えました」。それは、電話でのリアルタイム通訳がベースであった多言語通訳センタを、確実に収入が計算できる翻訳業務をベースに通訳業務をプラスした多言語サービスの複合センタへという、発想の転換だった。

ちょうどそのころ、NTT西日本ビジネスデザイン部でも、多言語をコンセプトに訪日外国人へのおもてなしのための事業ができないかと考えていた。そこで井上は、同事業部に、多言語通訳サービスのセンタ運営をベースにした新サービスの構想をぶち上げる。それがQR翻訳(=QR Translator)サービスだ。

翻訳をキーワードにアイデアを探す中で、井上はある企業が開発していたQR翻訳サービスにたどり着いた。「今の世の中はアプリがメインですが、海外のお客さまのスマートフォンにアプリをダウンロードしてもらうのはハードルが高い。その点、QRコードを読み込むのは簡単で、気軽に使っていただけると感じました。しかも、多言語化されたサイトを見るだけではなく、音声読み上げ機能がついている点も大きなメリット。“これだ!”と思い、開発している企業に連絡を入れました」。

売り先や販売網を探していたその企業は、西日本エリアを中心に営業担当をもっているNTTマーケティングアクトとのアライアンス契約に前向きだった。ところが、意外なところに落とし穴が待っていた。実は、数年前からスタートした多言語通訳サービスは、これまでなかなか需要が伸びずにいた。そんな中、追加投資をしてまで新サービスを導入したいという井上の提案は、現状を踏まえ前向きに捉えられなかったという。「多言語サービスはNTTマーケティングアクトの柱となる可能性を持つサービスです。QR Translatorを導入することで、新たなマーケットも開拓できると信じていました」。半信半疑の経営陣に向け、井上は、受注・収入の予測を立てて収支改善のストーリーを描き、トレンドをいち早く捕まえ、大きく育てる必要性を説き、最終的に営業体制強化やセンタ運営強化の方針まで考え、納得を得る形となった。

NTT西日本グループ全体の売上拡大にも貢献

懸命なプレゼンが功を奏し、取締役が「多言語通訳」「QR Translator」で3年後に10億円のビジネスにするという大きな目標を立てる中、井上はサービスの確立、営業展開に奔走する。やらねばならないことは山積みだった。その中でも、井上はサービスの必要性を伝えることに注力した。「QR Translatorを提供することがコンタクトセンタの業務なのか?」という声があがる度に、「このサービスはフック商材です。今まで入り込めていない企業との接点確保ツールとして使ってください」とアピール。一人で始めたサービス立ち上げだったが、営業体制の強化や支店への営業展開、営業サポートなど、いつしか井上の下に3人のメンバーが集まり、特化チームで取り組むことになった。

そして、2015年6月。ついに「QR Translator」サービスはリリースされる。すると、NTT西日本グループ全体から立て続けに問い合わせが入り始めたのだという。「予想以上の注目度でしたね。某ミュージアムでは、音声読み上げ機能が注目されて採用にいたりました。免税店を構える大手薬局チェーンでは、外国人に認知して欲しい商品を集めたコーナーづくりに活用されたのです」。井上は、声がかかれば、どこへでも営業支援に赴いた。契約まで同行し、多言語センタに翻訳を依頼、QRコードの作成は自らが手がけるなど、一気通貫ですべての作業に関わった。「契約は取れる!」という確証の下で動いていた井上だが、立て続けの受注には驚きと大きな喜びを感じたという。「今は、自治体の案件も挙がっていますし、各イベントでも手応えを感じています。また、NTT西日本グループではQR TranslatorとFree Wi-Fiのセットでの営業にも取り組んでもらうようになりました」。

振り返ると、「営業担当としてクライアントと接していたころに比べると、視野が広がり、NTTマーケティングアクト全体のことを考えるようになった」と井上は話す。「今、貴重な経験をさせてもらっていると実感しています。これを自分のスキルアップはもちろん、NTTマーケティングアクトの将来につなげていかないといけないと強く思っています」。

懸案だった多言語センタの運営は、翻訳の仕事が入ることで収支が向上してきた。多言語通訳や翻訳サービスを提案することで、これまで門前払いされていた企業に話を聞いてもらえるなど、営業の間口が広がったことも井上の狙い通りだ。さまざまな企業がインバウンド向け事業に取り組んでいる今、QR Translatorの世間への影響力は強い。さらに、サービスを広げるために、東日本エリアへの拡販や、地域で影響力を持つ地場企業との提携を視野に入れた動きを押し進めている。もちろん、NTT西日本グループでも「多言語対応ではNTTマーケティングアクト」というインセンティブが確立しているため、グループ全体の業務拡大・売上拡大につながることは間違いない。

「社内の目が期待に変わってきました。NTTマーケティングアクトの柱となりうる新規事業、NTT西日本グループ全体の売上に寄与できるサービスを手がけられたことは大きな誇りです」という井上は、さらに次の一手を考えている。それは、ナレーション業務や企業における多言語受付など業容を拡大する中で、コンタクトセンタに次ぐ、NTTマーケティングアクトのビジネスを開発することだ。会社に、そして世の中に、新しい“当たり前”を生み出し発信し続ける──井上の挑戦はこれからも続く。